タンゴよりも情熱的に

 

 

 

 





「来たわね、シュウ。」

ホグワーツの敷地ギリギリ、禁じられた森に程近い岩と茂みばかりの寂しげな場所。

禁じられた森を恐れてか、ここまで近づいてくる生徒はほとんどいない。

もちろん、何事にも例外というものは存在していて。

「こんな所に呼び出して何のつもりだい、ハルカ?」

ぼくは少し離れた場所に仁王立ちしているハルカに呼びかけた。

ぼくがここに来たのは、ハルカからふくろう便を受け取ったから。

この時間にこの場所で待つ、としか書かれていなかったけど……何をするつもりなんだろう。

「何の用かって?決まってるでしょう!決闘よ!」

「はあっ!?」

何でぼくがハルカと決闘なんか?

「さあ、杖を出しなさい、シュウ!」

「ちょっと待つんだ、ハルカ!話が全く見えない!」

「ごちゃごちゃうるさいわね!これはグリフィンドールとスリザリンの戦争よ!」

「戦争!?」

確かに、ぼく達はそれぞれの寮の監督生だけど、どうして戦争なんて話に?

「忘れたとは言わせないわよ!スリザリンの下級生がグリフィンドールの女の子を泣かせたこと!」

……そういえば、そんなことが昨日あった。

スリザリンの下級生の男子生徒が、グリフィンドールの同い年の女の子にちょっかいを出したんだ。

物を移動させる呪文でその子のスカートをめくろうとしたらしい。

でも、覚えたての呪文だから失敗して、その子のスカートはずり落ちてしまったんだとか。

「でも、どうして、それでぼくと君が決闘なんてすることになるんだい?彼だってきちんと謝りに行っただろう?」

「女の子に皆の前で恥ずかしい思いをさせたことは、一言謝ったくらいで済む問題じゃないのよ!」

「いや、でも、それは本人同士の問題だし…。」

「ごめんで済めば戦争は起きない!」

こっちの話が全く耳に入っていない。

しかも、ハルカのこの目は――本気だ。

「そっちにやる気が無いんだったら、こっちからいくわよ!」

ハルカが杖を振り上げる。

まずい!

「ステュービファイ!麻痺せよ!」

ぼくは身をひねって何とか避けた。

杖を出しながらハルカを説得しようとする。

「やめるんだ、ハルカ!ぼく達が争っても意味が無い!」

「うるさいわね!この女の敵!」

ハルカは続けざまに攻撃呪文を放つ。

……もしかして、恥をかかされた女の子と昔の自分を重ね合わせている?

そう考えたら、ハルカのこの怒りようも納得がいく。

ぼくも昔はよくハルカに悪戯をしていたから。

でも――今はそんなことを考えている場合じゃない!

「レダクト!粉々!」

ハルカの呪文は、ぼくが避けたせいで、数十メートル後方の小さな家ほどもあった岩を粉砕した。

今の呪文、人間じゃなくて固い物にしか効果は無いはずだけど、この威力は洒落にならない。

今のハルカが放つ攻撃呪文が掠りでもしたら……考えたくもない結果が待っているだろう。

「ハルカ、落ち着くんだ!」

「これが落ち着いていられるもんですか!そっちも避けてばっかりじゃなくて反撃しなさい!」

ハルカ、それは無理というものだよ。

「ペトリフィカス・トタルス!石になれ!」

「プロテゴ!護れ!」

防御呪文で何とか相殺したものの、その威力に押されて、ぼくは地面に転がった。

体勢を整える間もなく、大きな隙を見せたぼくに止めを刺そうとハルカが杖を振りかぶる。

間に合わない!

地面に身体をつけたまま、ハルカに杖を向けて呪文を放った。

一瞬のことだったから、自分がどんな呪文を口走ったのか定かではないんだけど。

杖の先からほとばしった光がハルカを直撃した。

「きゃあ!」

「ハルカ!」

ぼくは慌てて立ち上がる。

今の呪文が、何かとんでもない呪いだったら大変なことになる。

急いでハルカに駆け寄ると――。

「あーっ!これっていつかのー!」

ハルカには猫の耳と尻尾が生えていた。

「何でまたー!?」

でも、ハルカが動揺してる今がチャンス。

「エクスペリアームズ!武器よ去れ!」

ぼくの呪文にハルカの手から杖が離れてぼくの手に収まる。

「あーっ!」

「ふう、ハルカ、勝負あったね。」

かなり危なかったけど。

「よくもやってくれたわね!戻しなさいよ、シュウ!」

ハルカが猫耳と尻尾の毛を逆立てて唸る。

……可愛い。

「決闘に負けた君がぼくに何か要求できるのかい?」

「うー……。」

ハルカの猫耳がペタリとへたる。

……ますます可愛い。

「そうだね。決闘に負けた君には、ぼくの言うことを一つ聞いてもらおうかな。」

「な、何でシュウの言うことなんか!?」

「君、ぼくの制止も聞かず、一方的に仕掛けてきて負けたくせに、ぼくに逆らうの?」

「とにかく嫌!」

ハルカは四足で駆け去ろうとする。

ぼくは逃がすまいと彼女の尻尾を引っ張った。

「やんっ!」

可愛い声を上げて、ハルカはその場に留まる。

「決闘に負けた君にとって、勝ったぼくはどんな無茶な命令もできる主人同然。」

ぼくは愉悦にひたる。

「君には今ここでぼくに抱かれてもらおうかな。」

「なっ!?」

驚くと同時に、ハルカの尻尾がピンと立つ。

「君はぼくだけの猫。ぼくは君の主人。」

ぼくはハルカを押し倒した。

「で、でも、ここは外だし……。」

「誰もこんな所まで来ないよ。それに、そのままで寮に戻るわけにもいかないだろう?」

ハルカの猫耳はパタパタと落ち着きなく動いている。

「ご主人様のいうことには従うものだよ。ぼくの可愛い子猫ちゃん。」

ぼくはハルカの猫耳にフッと息を吹きかける。

「あんっ……。」

ハルカの身体から力が抜けた。

ぼくはハルカのローブを剥ぎ取り、服を脱がせていく。

「たっぷり可愛がってあげるよ、ハルカ。」

ぼくはハルカの首に口付けて、首輪の代わりに所有の証を刻んだ。



「やっ……あっ……あん……。」

ぼくがハルカの胸に唇を落とす度に、ハルカは可愛い声を上げる。

上目遣いにハルカの顔を見てみると、キスをする度に、猫耳がピクンと跳ねていた。

……可愛いなあ。

手を伸ばして、そっと猫耳に触れてみる。

「ひゃっ!」

猫耳は敏感らしい。

毛並みに沿って撫でてやると、ハルカは気持ち良さそうにぼくの手に擦り寄ってきた。

……本当に可愛いなあ。

「ねえ、ハルカ。美味しいミルクをあげようか?」

「ミルク?」

ぼくは既にはち切れんばかりに大きくなっているぼく自身をズボンから取り出した。



「さあ、舐めてごらん。」

座ったぼくの言葉に従って、ハルカはぼく自身をペロリと舐める。

何度かペロペロと舐めた後、ハルカはぼく自身を口に含んだ。

それから、ハルカはミルクが出てくるのを心待ちにするように、ぼく自身を吸う。

でもね、ハルカ、そう簡単にご主人様はご褒美を与えないものなんだよ。

「ハルカ、吸うだけじゃダメだよ。舐めなさいって言っただろう?」

ぼくは優しく命令する。

「うん……。」

今のハルカは従順な猫そのもの。

ぼく自身を口に含んだまま舐める。

ぼくは猫耳を弄びながら、ハルカがぼく自身を舐めるのを見ていた。

ザラリとした舌の感触に堪らなくそそられる。

もうそろそろいいかな。

「さあ、ハルカ、ご褒美のミルクだ。」

ぼくはハルカの口に白濁色の液体を流し込む。

コクリとハルカの喉がぼくの欲望を嚥下したのを見て、ぼくは笑みを強くした。

「美味しかったかい、ハルカ?」

ハルカはぼくの問いに答えず、飲み込みきれずにぼく自身を伝っていたミルク色の液体を追いかけて舐めている。

「ハルカ。」

ぼくは彼女の顎を掴んで、ぼくの顔に向けた。

「ご主人様の問いには答えるものだよ。」

ハルカは名残惜しそうに唇を舐めると頷いた。

「そう。じゃあ、もう一度飲むかい?」

ぼくは顔を近づけて言う。

彼女は首を横に振った。

「それよりもシュウがほしいわ。」

「我侭な子猫ちゃんだね。ご主人様に要求するなんて。」

でも、可愛いから許してあげるよ。

「さあ、脚を広げてごらん。ぼくを沢山あげよう。」

ぼくは座ったまま、ハルカを抱き寄せた。



ハルカの腰に手を添え、ぼくは一気に彼女を貫く。

ぼくの肩に手を置いていたハルカは、その衝撃に耐えようと、ぼくの肩に爪を食い込ませた。

「痛いよ、ハルカ。」

「あっ……で、でも……っ!」

痛いんだったら、ぼくがハルカの中に入るのをやめたらいいんだけど。

でも、ぼくを欲しがったのはぼくの子猫だからね。

可愛い子猫の頼みを断るわけにはいかないだろう?

ぼく自身が完全にハルカの中に入った時、既に肩の皮膚は破れ、血がにじんでいた。

「ご、ごめんなさい、シュウ……。」

ハルカはそう言いながら、自分の爪が付けた傷を舐める。

「ハルカ、そんなことよりもぼくが欲しいんだろう?」

「で、でも……。」

ハルカは傷を舐めるのをやめようとしない。

ぼくは彼女の尻尾を引っ張った。

「あんっ!」

「ほら、ちゃんとぼくを感じて。せっかく君がぼくを欲しがってくれたのに、君がそんなんじゃつまらないだろう?」

ぼくは彼女の腰に添えた手に力を込める。

「さあ、動くよ。」

刺激の強すぎるぼくの動きに、やはり彼女はぼくの肩の爪あとを増やした。



ハルカがぼくの膝を枕に眠っている。

ぼくは彼女にローブを掛けてやりながら、さっきまでのことを思い出した。

……可愛かったなぁ、ハルカ。

お互い何度も達しているのに、ハルカはぼくをねだることをやめなくて。

猫は貪欲っていうけど、全くその通りだと思うよ。

ハルカの猫耳がピクリと動く。

おや、起きるかな?

しかし、ハルカの呼吸は穏やかなままで起きる気配はない。

でも――。

「シュウ……。」

眠っていてもぼくの夢を見るほどに、ぼくに夢中になってくれているんだよね。

貪欲というのは、言い換えれば、好きの度合いが強いってことかもしれない。

体を丸めて眠る彼女の猫耳を撫でる。

寮に帰るまでには彼女を元に戻さないといけないだろうけど、今はまだこのままでもいいだろうか。

ぼくは彼女の穏やかな吐息に耳を澄ませた。

 

 

 

 

 

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