親指姫パロ

 

 

 

 

昔々ある所に親指ほどの小さな女の子がいました。

名前はハルカといって、小さいのにとても元気な明るくて可愛い女の子です。

ある日のこと、ハルカが赤い薔薇の上で日なたぼっこをしていると、ハルカと同じ大きさくらいの男の子がやってきました。

その男の子を見て、ハルカがげっと小さく呟きます。

「ちょっとシュウ!あなたの出番は最後でしょ!何で今出てきてるのよ!」

「出番なんてどうでもいいじゃないか、ただの昔話なんだし。」

「良くないかも!ちゃんと出番までお花畑にいなさい!」

「嫌だね。」

シュウと呼ばれた男の子は背中に生えた羽を動かしてハルカのいる薔薇の花びらまで飛んできました。

「これじゃあ物語が成り立たないかも!」

「そんなことよりハルカ、今すぐぼくと一緒に来るんだ。」

「へ?何で?もうすぐ話が進むのに。」

「だからだよ。君、この後どうなるか分かってるのかい?」

ハルカは物語を思い出します。

「えっと、ドブガエルが息子のお嫁さんにしようとか言って、わたしを連れ去って……。」

「その後は?」

「色々あって親切なノネズミのおばあさんに拾われたけど、今度はモグラと結婚させられそうになる……。」

「そう、君はぼく以外の男と二度も結婚させられそうになるんだ。」

「って、そんなことで話の邪魔してるの、シュウ!?」

「それ以外に何があるのさ。」

「物語、最初からぶち壊し……。」

ハルカはがっくりと肩を落とします。

シュウはそんなハルカをお姫様抱っこしました。

「ちょ、ちょっと降ろしなさいよ!」

「ドブガエルに誘拐される前に、ぼくが君をお嫁さんにしてあげるよ。」

「これだって立派な誘拐かもー!」

「ぼくを愛してるんだろう?だったら誘拐じゃなくて駆け落ちさ。」

「わたし達、初めて会ったって設定なんだけど!」

「でも、君は初めて会ったはずなのに、ぼくの名前を知ってただろう?だったら大丈夫。」

「何が大丈夫なのよ!」

「ぼく達の新婚生活がだよ。そろそろ行こうか。」

シュウはハルカを抱えて薔薇から飛び立ちます。

「わーん!妖精の王子様のくせに人攫いー!」

「王族たるもの、欲しいものは来るまで待つんじゃなくて、自分で手に入れないとね。」

「だからってこんなのは嫌ーっ!」

ハルカはシュウの腕の中で暴れます。

そこへ一羽のツバメが通りかかりました。

「親切なツバメさん、助けてー!」

「無理だよ。彼は君をぼくの所に連れてきてくれるぼくの味方さ。ね、ツバメ君。」

「おう!ハルカ、シュウと幸せにな!オレはカスミが待ってるから南の海に旅に出るぜ!」

「この薄情者ーっ!」

ツバメは空高く飛び去って行きました。

「うう、このままだとシュウのお嫁さんにされちゃう……。」

「ぼくと結婚するの、そんなに嫌?」

「嫌じゃないけど……。」

「じゃあ、このまま結婚式だね。」

「だからどうしてそんなに話を急ぐのよ!わたしは苦難の末に結ばれる二人の物語が好きなの!」

「ぼくは嫌いだ。」

シュウはムッとした顔で言います。

「ぼくだって君と結婚するために君の誘拐計画を練ったりして努力してるんだ。もう苦労してるんだから結ばれたっていいだろう。」

「もう少し真っ当な努力をしなさい!」

「どんな努力も尊いのさ。」

「なに一般論で誤魔化してるのよ!」

「じゃあ、理論じゃなくて、感情で納得させてあげる。」

「どういう意味――んっ!?」

シュウは抱いていたハルカに口付けます。

かなり長い間唇を塞いで、ハルカの力が抜けた頃に放しました。

「ぼくとのキス、好きだろう?」

「ぜ、全然好きじゃないかも……。」

「その割に顔が赤いし、目がトロンとしてるよ。」

「そんなのただの錯覚よ……。」

「じゃあ、君が納得するまで続けてあげる。」

シュウはまたハルカにキスをします。

キスの雨はとうとうハルカが根負けしてシュウの愛の告白を受け入れるまで続きましたとさ。

 

 

 

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