青春トランプ対決 8
「今度はオレがカードを引く。お前はそこで見てろ。」
シンジの言葉にヒカリはむくれる。
「何よー。一回負けたくらいで。」
「同じ間違いを繰り返すほどオレはぬるくないんだ。」
その言葉通り、シンジは前回一位のシュウに負けず劣らずカードを減らしていく。
「だからお前は使えないんだよ。もうちょっと頭を使え。」
「うー……、悔しいけど強い……。」
「なるほどね……。」
シンジにカードを差し出すシュウが頷いた。
「ハルカ。」
シュウが自分の持ち札を再び2枚に減らした時点でハルカを呼んだ。
「何、シュウ?」
ワクワクと手札を覗き込みながら勝負の行方を見守っていたハルカが顔を上げる。
シュウはその瞳を手の平でそっと覆った。
「……何?」
「どうも君の表情を読まれているみたいだからね。しばらくはこれで我慢してくれ。」
「……うん。」
シュウは片手のカードをシンジに示す。
「さ、どうぞ。」
シンジは警戒しながらシュウのカードに触れる。
右のカードに触れた時、シュウの眉がわずかに上がった。
こっちだ!
シンジは右ではなく左のカードを抜き取る。
「オレはそんなフェイントに引っ掛かるほど甘くないんでな。」
そう言ってひっくり返したカードはババ。
「……。」
「甘いね、裏しか読めないなんて。」
「シュウに対抗するんだったら、裏の裏の裏の裏まで読むか、真正面からぶつかるしかないのよ。」
目隠しを外されたハルカがクスクス笑いながら言う。
「そんなわけで、今回も優勝かも。」
ハルカがサトシから引いたカードは見事に最後の一枚とペアになった。