青春トランプ対決 7
「お前、使えないな。」
「使えないとは何よ!いくつかペアは揃えたじゃない!」
「いくつかだろう。ババ抜きなんだから進めていけばそれくらいは当たり前だ。」
「言ったわね!今度こそ揃えてやるんだから!」
言い争うヒカリとシンジのカードの数は他の3組に比べ遥かに多い。
「さ、どうぞ。」
シュウがポーカーフェイスで差し出す札をヒカリは睨みつける。
「右か、左か……。」
カードを触りながらシュウの顔を見る。
左のカードを触ったとき、シュウがわずかに眉を寄せた。
「大丈夫!今度こそ当たりよ!」
言いながらカードを抜き取り、シンジに見せ付けた。
「シンジ、これでどう!?」
「お前、自分が何引いたか見てみろ。」
言われて、ヒカリはシンジに向けていた面を自分に向ける。
「……ババ。」
「ぬるい上に考えなし。お前、本気で使えないな。」
がっくり落ち込むヒカリを尻目にシンジは二人を見る。
一周してまた巡ってきた順番で見事に一位で上がっていた。
「ハルカ&シュウ、一位通過!お互いの長所を生かした見事な役割分担だったわね!」
カナタの褒め言葉にシュウは髪をかき上げる。
「まあ、運だけというのもこういうゲームでは役に立つね。」
ハルカも胸を張った。
「シュウの生意気な顔っていうのも結構いいものね。」
その言葉でまた睨み合いが発生する。
幼馴染2組がゴールし、喧嘩ばかりのカップルの敗北が確定するまで、その睨み合いは続いていた。