青春トランプ対決 6
カップル対抗トランプ対決、一戦目は定番のババ抜き。
「それでトシキが助けてくれたのよー!普段はそんなに強気じゃないけど、いざと言うときは頼りになるの!」
「それくらいならオレだってカスミにやってたぜ!カスミが困ってるトコなんてほっとけないもんな!」
ババ抜きをしながら幼馴染特権を語り合うサトシとエリコ。
この二人の場合、妨害など関係なくただの思い出語りだった。
夢中になってペラペラ語り倒している。
それでも、小さい頃の思い出を延々語られて、二人のパートナーは顔を赤らめていたが。
この二組はなめらかに動く舌と同様に、なめらかにペアを揃えて持ち札を減らしていく。
しかし、この絶好調の二組以上に持ち札の少ないペアがいた。
「シュウ、10も揃ったわよ!これであと2枚!」
カスミの持つカードからクラブの10を取ったハルカが喜ぶ。
「君は運の良さだけは天下一品だね。」
カードを見せびらかすハルカをシュウは呆れたように見やる。
シュウの隣に座ったハルカは頬をふくらませた。
「何よー、わたしのおかげでここまでカードが減ったんじゃない。」
「それはそうだけど、他のチームがぼく達より強かったらいくらカードが減ってても負けさ。」
シュウが手に持った2枚の札を示す。
「他のチームをゴールさせないぼくの実力も覚えてほしいものだね。」
最後のチームがシュウの差し出した2枚のトランプに苦りきった顔をする。
ヒカリとシンジだった。