青春トランプ対決 5
カナタが席についた4組のカップルをぐるりと見渡す。
「じゃあ、司会兼審判は私ね。ルールは簡単、カップルで勝負に勝てば優勝。」
「だから、カップルじゃないんだけど……。」
「はいはい、ヒカリはもうちょっと素直になった方がいいわよー。」
ヒカリの抗議を聞き流したカナタは続ける。
「それで、ここからがこの勝負のポイントね。相手への妨害はアリよ。」
「妨害って何?」
カスミの疑問にカナタは待ってましたとばかりに胸を張る。
「ペアの相手とのろけて敵の戦意喪失を狙っても良し、自分達の仲を見せ付けるも良し。カップルの仲良し度も勝負の決め手になるからトランプに勝っただけじゃ勝負には勝てないわよ。」
「な、何そのルール!そんな恥ずかしいルールで戦えって言うの!?」
「大丈夫よ、ハルカ。トランプで全勝すれば妨害しなくても勝てるわよ。」
「……それって不可能かも。」
ハルカは赤くなって顔を逸らす。
目を輝かせているエリコと何も分かっていないサトシ以外、皆似たようなものだった。
そんな青春モードの8人を前にカナタは高らかに宣言する。
「ただいまよりカップル頂上決戦トランプ対決を始めます!みんな頑張ってねー!」
おー……という小さな声がした。