青春トランプ対決 1
とあるクラスで今日の昼休みもトランプ対決が繰り広げられようとしていた。
「シュウ、今日こそ負けないかも!」
「今のところ、ぼくの勝率は7割だよ。ここのところ君は負けっぱなしじゃないか。」
「それって3割はシュウの負けってことでしょ?それにわたし、シュウには大富豪で負けたことないし!」
「運だけで勝ち抜いてきたという証拠だね。大富豪は引きが良ければ誰でも勝てるゲームだし。」
「どういう風にカードを出すか考えるのが勝負の分け目って最初に言ってたの、シュウよね?」
「……まあ、何にしても、ぼくは他のゲームで君に勝てなかったことはないよ。」
「あ、話そらしたー。でも、わたしだって、少しはシュウに勝ってるかも!」
「少しだけね。」
「むーっ!絶対勝ってやるんだから!」
「あのー。」
恐る恐る声を掛けたのはいつも二人とゲームをしている少女。
「もうそろそろ始めない?サトシ、待ちくたびれてるし。」
「お前ら、毎日おんなじ言い合いしててよく飽きないよなー。カスミもそう思うだろ?」
「ま、まあ、コミュニケーションとか愛情表現は人それぞれだし……。」
「愛情表現じゃないかも!」
「そうそう、ハルカがつっかかってくるから相手をしてやっていただけさ。」
「何よ!人が一方的に噛み付いたみたいな言い方して!」
「そうだろう?違うとでも言うのかい?」
「絶対違うかも!」
触れ合わんばかりに近づいて言い合う二人にカスミはため息をつく。
「そういうのを痴話喧嘩っていうのよ……。」
「ライバルって大変だな。」
「こっちは鈍感だし……。両方相手にするあたしの身にもなってほしいわ。」
ゲーム開始まではまだまだ遠いようだった。